「ずっと夢をみて、安心してた」

7月20日の木曜日、生まれて初めて川で泳いだ。
俺は泳ぎが得意ではないから、浮かぶ努力をしたというべきか。

三泊四日の出張。大阪を発った我々は三重を目指した。ガソリンスタンドの閉まる時間が想定していたよりも早く、エンプティランプが点灯してから60〜70キロ走行する羽目に。JAFやレンタカー、タクシー、あらゆる手段を頭の中で検討する。いずれも50キロ圏内にない。「車中泊は暑いだろうなあ」と思いながらの二択。右か、左か。選んだ先に、ガソリンスタンドはあった。助かった。

仕事の合間に魚飛渓というところへ行った。きっとまだ夏休みが始まっていないのだろう、遊んでいる人は少なかった。天気が良い。水は冷たい。浮力の違いを体験できた。海の場合、足先も浮いている。川の場合、足先が沈む。

とても綺麗なところだった。
伝えたかった。伝えられなかった。

友だちは言う。

「よくなかったことは、自分で勝手に見つけてしまうかもしれないから、だから私はよかったことを、簡単によかったとは言えないけれど、それでも、並べてみる」

俺は、お別れの言葉を。またね。