2014-01-01から1年間の記事一覧

「え、二人じゃなくて三人でという意味ですか?」「うん。二人でも四人でもない。三人」

俺は友達と話していて「事実」という言葉を使うときがある。何度か、あるいは、何度も。 そのたびに、引っ掛かる。俺は、正しい意味で使っているのだろうか? 辞書をひいてみる。正しいような、誤っているような。だからといって、たとえば「出来事」という…

「別に言うほど仲良くはないけど。不意に浮かんだ、地下鉄のホームで」

The Homesicksというバンドを知っているだろうか? ホームシックス。 ボーカルがどういう人なのかよく知らない。話したこともない。ライブハウスで最後にみたのは、きっと10年くらい前のこと。 好きな音楽、好きなバンド。紹介したことがあるかもしれない。…

「僕はスパイになんかなれない」

同僚のMさんと一緒に、スパイになってきた。クライアントから連絡があった。「××がセミナーをやるらしいですよ。場所は××で、参加費用は××円です」我々の職種には特殊な面があり、そのひとつに同業との交流が皆無という点が挙げられる。したがって、他社がど…

「言葉はまた途切れてく 漂うことができなくて」

ローカルに保存された、友達の昔の日記を読み返していた。知り合う前に書かれた日記だ。彼の知る世界に、俺はまだいない。いや、いることはいる。認識されていない。俺と彼の記憶。どちらかに誤りがある。俺と彼はいつ知り合ったのか?俺は、彼が専門学校に…

色々な人が来て、去って、そして残っている。

いろんなことがあって、結果、スケジュールを組む人が変わった。 パズルのようなものだと感じていた。休日数を考えたり、誰と誰が組むのか考えたり。 新しくスケジュールを担当することになった上司のことを、俺は知っている。勿論、前任者のことも。 12月の…

「5日中って俺ら時間で、ですか?」「そうですね」

勤め先には、いくつかの取り決めがある。それらの取り決めの一つを、俺とMさんは守っていない。俺とMさんだけが守っていない。「お前らだけだぞ。いい加減にしろ。全国に××名いる社員の中で、お前らだけがやっていない」社長との面談で、そう言われた。「Mさ…

「だから今日は記念日だ。戦った僕の記念日だ」

いつからだろう、ずっと同じ曲を練習している。一年は、経っていないと思う。 友人から預かっているギターを、アンプシミュレータにつなぐ。 彼が弾いたなら、こういう音にはならない。弾いていないときの雑音がなくならない。 こんなふうに雑音が出るような…

違うよ。たぶん、君の話が面白くなかったんだ。

24時間営業の中華料理屋さんで朝ご飯を食べていた。五つ離れたテーブルに三人の客がいる。年齢はどれくらいだろう。二十代後半か。男性二人と女性一人。窓側に座る男女は交際しているらしい。窓側の彼が言う。「俺は映画をつくりたい。けれど、60億人が良い…

色々書きたいことはあるけれど

形になっていない。形にすることをサボっているだけだ。2ちゃんねるのオカルト板に師匠シリーズという掌編がある。失われることについて考える。作者は、やがては失われるということから目を背けていない。『師匠』という存在は例外なく失われる。失われるこ…