「別に言うほど仲良くはないけど。不意に浮かんだ、地下鉄のホームで」

The Homesicksというバンドを知っているだろうか? ホームシックス。
ボーカルがどういう人なのかよく知らない。話したこともない。ライブハウスで最後にみたのは、きっと10年くらい前のこと。
好きな音楽、好きなバンド。紹介したことがあるかもしれない。感想を書いたことも。だけれど、一枚のCDをすすめたことはないと思う。

銀座でiPhone5sを買った日、東京で初雪が降った。

その翌日、ようやくアドレス帳の同期を終えた俺は何気なくiTunes Storeでホームシックスを検索した。新譜があった。試聴する。彼だった。購入する。

衝撃を覚えた。

どうして良いか分からず、友達にメールを送った。彼が変わったこと。彼が変わっていないこと。変わりながらも変わっていない、か。夜、友達から返信があった。歌い方、言葉の切り方。変わっていない。でも、何かが違う。どうしたら良いのか、彼も分からなかったんじゃないだろうか。10年前の彼からはそんな印象を受けた。振り切っていない、居直ってもいない。彼は彼のままだ。音楽が追いついたのか? 彼の魅力が、音楽の魅力になったのか?

素敵な一曲なんて、数え切れないほどある。だけれど、名盤はどうだろうか。春夏秋冬というタイトルのこのCDは、世に残ってほしい一枚だと思う。

彼が、彼らが、休むことを知った。知るのが遅すぎた。彼らの、彼の、ライブを思い浮かべることができる。だけれど、もうみることができないかもしれない。
きっとまたね。言えるはずもない。気軽に言えない。

音楽をやる人の、音楽以外にどんな意味があるというのか。分からないけれど、オフィシャルの、彼の文章を何度も読んだ。

ギターが好きな人、ベースが好きな人。ドラムが好きな人。歌が好きな人。音楽が好きな人。悲しいことがあった人、何も感じない人。
どうか、一度聴いてみてほしい。できることならアルバムを聴いてほしい。

http://homesicks.com/