しじみ

ヘンリー4世さんが出演する「しじみ」をみにいった。
面白かった。終わった後、一緒にみたIさんとお芝居について話し合った。教わった、か。役者であるIさんは俺が知らないことを沢山知っているし、音楽を聴く越川くんの耳みたいに、よくみえる目を持っている。感性の話です。その中で「なるほどなあ」と思う部分がいくつかあった。

かつて、バックホーンが始めてライブDVDを出したとき、北海道新聞で記事になっていた。今でも忘れないのは、そこに「荒削りだが良い。これからに期待したい」この言葉、どちらにも解釈できる。本当に良かったのか、あるいはそれほどでもなかったという感想を違う表現で記したか。

しじみ」も、もしかしたら俺には気づくことのできないレベルで途上だったのかもしれない。そしてそれは、演出の話なのかもしれない。

だけれども、記憶力が低下していておそらく原文ままではないのだが、

「間違っていてもいいじゃない」

そんなセリフがあった。ピンと張り詰めた、穏やかだけれど鬼気迫るシーンだったと俺は思っている。
他にも良いなあと思ったところは多々あれど、ひとつだけ良かったところを挙げるとすれば、間違いなくあのシーンだ。

埼京線に乗りながら、バックホーンのゲームを聴く。

放っておいてくれ 俺の罪なら俺が決める

しじみ」の裏テーマは「エゴ」なのかなあと思ったり。思わなかったり。

演劇はその場限りのもの、再現されないものであると思っている。仮に同じ脚本を同じ演出で同じ役者さんが演じたとしても、それはきっと別物になると思う。だから、おおよそ300席の3席に座ったことを、光栄に思う。

これを書いている時点ではまだ終わっていないけれど。本当にお疲れ様でした。