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各営業所のプリンタはネットワークでつながっている。

出張したときには、通常使うプリンタをその営業所のものに設定するので、関東に帰ってきたときに戻し忘れると、遠く離れたプリンタが動く羽目になる。印刷物をみれば、ミスをしたのが誰なのかだいたい分かる。

12日に、SさんとIさんと俺の三人で筋肉少女帯のライブに行った。覚えていない歌もあったけれど、素晴らしいものは素晴らしく、感動した俺は以来筋肉少女帯の歌を聴き続けている。それも、ライブではやらなかったひとつの歌を、ずっと。思い返せば、俺は子供の頃からそうだった。親にカセットテープを買ってもらっては、そのカセットテープにひとつの歌を目一杯入れて、同じ歌を聴き続けていた。

ある明け方に、聴き続けている歌の詞をプリントアウトすることにした。設定が札幌のままだった。ぼんやりしていた。やってしまった。直後に、中止命令を掛けたが、印刷されたか否か、微妙なところである。

俺が筋肉少女帯のライブに行ったことは、札幌にいる全員が知っている。誰が印刷しようとしたのかバレバレだ。

札幌営業所に電話を掛けるとNさんが出た。

「えーとですね」
「はい」
「印刷を間違ってしまいまして、そっちで何か出ていないですか?」
「や、何も出ていないですよ」

事情を話すとNさんが笑った。部長ら役職の方々は、この電話が終わったら何故Nさんが笑ったのか問うだろう。

後日、Nさんから仕事のメールがあり「筋肉少女隊の歌詞はあの後も出ていなかったですよ」という追伸があった。俺も、追伸を添えて返信した。

「隊じゃなくて帯です!」