生クリームと七皿のお寿司 わたしの寿命を縮めるつもりか

北海道出張が入ったので、実家に帰った。親に連絡をしていなかったから、母親がとても驚いていた。「わたしの寿命を縮めるつもりか」

鮭を焼いてくれた。「おいしい。佐藤水産?」「うん」

それと、白い料理をつくってくれた。白菜とシメジとホタテとベーコンが入っている。

「これもおいしい」「そう? 白菜をいただいてね。大量にあるものだから」「昔は、こういうのつくらなかったよね」俺がいうと、母が笑った。そして、わたしもテレビをみるのだといった。テレビをみて、自分でもつくれそうな簡単な料理があったのだと。「とてもおいしい。どうやってつくるの?」

「まず白菜の芯をフライ鍋にいれます。水はいれません」「ふむふむ」

今度、つくってみよう。

翌日の昼、父と母が俺をお寿司屋さんに誘ってくれた。
店を出るときに、皿の数をそっとかぞえた。父と母、合わせて7皿。食べる量が少なくなったように感じられた。

家に帰ると犬が吠えた。俺のことが怖いのかもしれないと考え、頭を低くして犬を呼んでみた。吠えている。歯を剥き出しにして襲いかかってきても驚かないくらい吠えている。やがて、近づいてきた。あぐらをかいて座る俺に背を向けている。ぽんぽんおしりをたたくと座った。もぞもぞしている。すぐに立ち上がり、少し近づいて座る。またもぞもぞしている。少しずつ俺に近づいている。なんだ甘えているのか。かわいいな。俺が立つと暴れまわった。本当に、よく吠える。

ノルウェイの森の上巻を読み終えた。これから下巻を読む。この小説を初めて読んだのは10年くらい前だったと思う。