「だけど勇気が足りない 力が足りない 時間が足りない……」

日曜日はお休み。月曜日は昼から仕事があるので、いつもよりも半日休んでいる時間が短いような感覚。

北陸の社宅に娯楽らしきものは何もなく、もっとも大宮の自宅にもそれらしきものは何もないのだけど、時間を持て余すのではないかと心配した親方が俺(たち)のためにDVDを借りた。その数、6本。決して少なくない量である。

親方のご厚意が残された時間を圧迫している。「面白いから! 騙されたと思って」親方、にこにこと笑っていた。断ることができなかった。読む本があるのです。言えなかった。

どうしよう。

同じくDVDを薦められた後輩にあらすじを聞くという作戦も残っているが、それはやっちゃいけない。親方に悪い。観る時間がなかったら、正直に話そう。済みません。本を読んでました。

三冊あるうちの一冊を、もうすぐ読み終える。

出張先にハードカバーを三冊持ち込むという、人によっては荒業に感じられるかもしれない選択。いつものようにビジネスバッグひとつで動くのは無理があったので白いリュックサックを背負った。

この頃、俺は5歳だった。物語がどこに向かおうとしているのか、まったく先が読めないけど、いや、予測をせずにいられないので読もうとしているのだけれど、きっと外れるということが分かっているので読めないと思っている。ひどい文章だ。この頃について考える。ウィキペディってみた。

ウイングマンブラックエンジェルズ炎の転校生ふたり鷹/Gu−Guガンモよろしくメカドック/前略、道の上より/ラヴイズオーヴァー/重戦機エルガイム/ふられ気分でRock'n' Roll/レンズマンきまぐれオレンジ☆ロード

そうか、この頃か。調べた今、Gu−Guガンモに衝撃を覚えた。一週間前に、この本をきっと読もうと思って新幹線に乗った。この頃の歌だとは知らずにGu−Guガンモの歌を聴きながら。同じだったのか。
ただし、ざっくりとした時代把握があっての選曲だったから、偶然であるとも言い切れない。

少しだけ、怖い。音楽の力を借りる。読んでいるときは何も聴いていない。本を閉じたあとに音を聴く。繋ぎ止めてもらう。とあるパンクスの詞を引用したい。全然関係のない話だけれど、かつてパンクスよりも気が小さいと歌ったのは電気グルーヴだったか。俺の気も、随分と小さい。

バックパッカー 見知らぬ土地で 君と同じ月を見ている
本当の青春がブッチギリに残酷でも 俺は間違ってなんかいないし
お祈りしてる場合か? 考えてたら終わっちゃうよ
坂道は疲れるだけじゃないんだ

読書感想文は、たぶん書かない。けれど、本を読み終えたとき、君と話したいことがきっとある。それが何か、今は分からないけれど、こっちの予感はおそらく当たると思う。

ライターのオイルがもうすぐなくなりそうだ。