「午前3時の交差点」

7月9日の日曜日はお休みだった。
夜明け前に仕事が終わり、同僚とビールを飲み、家に帰って少し寝た。夏にエアコンを使わないという試みは今年で三回目になる。扇風機を使っている。
昼過ぎに暑くて起きた。ビールやアイスコーヒーを飲みながらゲームをする。眠ったのは、22時か23時頃。

月曜日の午前3時頃、友人のKさんから電話があった。

「今、俺は交差点にいます」
「ん、うん」
「これから家に行こうと思いまして」
「それだけはやめて」

部屋がとても汚い。誰かを招待できる状況ではない。

「でも分からなくて。悲しいじゃないですか。××さんや△△さんは知っているというのに」
「隠しているわけじゃないんだけれど」
「お話があります」
「う、ん」
「これから家に行きます」
「待って。分かった。どこの交差点?」
「○○と■■の」
「では、30分後に□□で」

話している途中、共通の友人であるSさんからも電話があった。
「Kさん、Sさんからも電話が」
「今いっしょにいます」
「どうして二人いっしょに掛けてくるんだ……」

午前3時という時間は、絶妙な時間だった。今回はたまたま起こされる形になったけれど、休みの日であれば起きていることが多いし、仕事の日でも、忙しくなければ出られるからだ。
Kさんが話したいこととは、俺が黙っていたことについてだった。不自然な沈黙であるという自覚はあったのだけれど。話したくなかったわけじゃない。だけれども。同席しているSさんは俺を気遣ってくれた。きっと、二人とも察してくれていたのだ。俺は、言葉を選びながら、慎重に答えた。
「伝わった、かな」
「はい」
Sさんは、相川七瀬の歌を口ずさんだ。歌詞が0時から3時に改変されていることに気づいたのは、しばらく経ってからのことである。
また、まったく別の話であるが、俺はSさんの指摘に驚いた。過去、彼に話した記憶はないのだけれど、その指摘は当たっていた。

「凄いね。たぶん、その通りだ」

なんで分かるんだろうなあ。