プロ意識

「久し振りだね」
「ご無沙汰しております」
たまご焼きのおいしい焼鳥屋さんでビールを飲む。

何度か見掛けたお客さんがラーメン屋さんの店長であることを知る。25歳の店長は、焼酎をお茶で割っていた。

「仕込みは大変ですか?」俺の問いに対する彼の答えは、バランスが良かった。

「そんなに手間は掛けていないです。安く出したいので」
「なるほど」
「でも、うまくないものは出さないです」

鋭さと柔らかさのバランスが良いと感じた。そして、彼は俺に大切なことを話していない。『そんなに』の基準を話していない。