「話したいこと、山のようにあったけれど」

我が家の大掃除を敢行した。3月29日に開始、4月7日に完了。大変だった。

2016年の9月、友人の来訪を機にできるだけのことをやったのだけれど、十分ではなかった。そのときは友人が掃除軍曹となり、部屋が綺麗になった。

「あとはお風呂場の維持だね」

「頑張る。感謝している」

あれから3年、俺の部屋は秩序を失った。約束を破るつもりはなかったのだけれど、あのときよりはマシなのだけれど、結果的には破ってしまったのかもしれない。人を呼べない空間になった。出張が終わると「帰ってきた!」と安堵するより「きたねーな」という思いが先に立つ。ここよりも散らかっている部屋を俺は知らない。休日はベローチェや居酒屋にいることが多かった。

掃除と並行して自炊も再開した。賞味期限の切れた調味料から推測するに、4年か5年ぶりである。ほぼ毎日、家で食べている。

「どうして、突然自炊を始めたんですか?」

友達に訊かれた。

「掃除していたら贈り物のフライパンが発掘されたから」

異なる日、同僚にも訊かれた。

「どうして掃除を?」

俺は「なんとなく」と答えただろうか。覚えていない。もしそうなら、本当のことを言っていない。正しくは「自分のため」である。そしてそれは「友達のため」を経由している。あの日、二日間ほど泊めてもらえないだろうかと友人に言われたときと動機の質は変わらない。友達のためにシェルターをつくろう、そう思った。そんな日は来ない方がいい。そう思いながら掃除した。

4月5日の午前中、会社の車を借りて、粗大ゴミを捨てに行った。さいたま市の桜環境センター。桜並木が延々と続いていた。1キロくらいだろうか。綺麗だった。身分証を提示し、施設の中へ。誘導されるまま駐車する。そこには二人か三人の職員がいて、てきぱきとゴミを受け取ってくれる。凄いなあ。ゴミを捨てた後は、また車に乗って精算機が備え付けられている出口へ。コインパーキングのような感じ。無料だった。レシートを見た俺は、しばらく経って意味を理解し、また感心した。

総重量 1,680キロ

空車重量 1,640キロ

正味重量 40キロ

そういうことか! ゴミを捨てる前と捨てた後の車の重さを比べて計算しているのだ。常識かもしれないけれど、知らなかった。本当に、知らないことばかりだ。しかし、いつの間に車の重さを量ったのだろう。まったく気が付かなかった。

入口に一人、誘導する人が一人、ゴミ捨て場に三人、出口に一人。それと施設。俺のゴミを処分するために、想像を絶するお金が掛かっているのだろう。税金大事だなあと感じた。ふだんから週に二回か三回、ゴミを捨てているのだけれど改めてそう感じた。

「部屋、片付いたよ」

友達に報告する。お給料が入ったらランタンを買おう。ユニットバスの電気が点かないのだ。そして5月か6月に、きっとエアコンを直そう。