「こんな夜に意味があるなら僕らは地を這う」

6月2日の土曜日は北海道出張の最終日だった。15時くらいに起きて電車で出勤する。たまたまなのだけど、今年は北海道出張が多い。
「何かあったのかと思って心配していた」
友人のTちゃんに言われた。頻繁に帰省する俺のことを心配していたらしい。
「そのときは言うよ。ありがとう」
今回は何もないけれど、もし彼の推測通りだったら、俺はどうしていただろう。きっと、何も言わない。正確には「けりがついたら話す」かもしれない。いや、どうだろう。関わっているのが誰かによって、状況も変わる。

それはそうと、午前3時頃に仕事を終えた。

同級生の店に行った。すすきのにある彼のお店は土日に限り午前4時まで営業している。基本は日本食の居酒屋だけれど沖縄料理も食べられる。月替わりのチャーハンもおいしい。客は二人いた。ひとりは中華料理店の代表、もうひとりは山形にある酒蔵の営業さん。

始発までもう少し時間がある。以前同級生が「こんな店を目指している」と教えてくれた店にも行った。そのお店は今年で13周年を迎えたらしい。すすきのは店の入れ替わりが激しいという話を聞く。13年か、凄い。ベーシストでもある店主は、年に数回しか行かない俺の顔と名前を覚えている。

始発の電車で新千歳空港に向かう。少し眠ってしまった。起きると南千歳。空港まであと一駅――じゃない。乗客の数で察した、降りて乗り換える、この電車、折り返している、寝過ごしていた。

お台場に行きたかった。

一度家に帰るか、羽田から直行するか。交通費と時間効率を考えると直接行った方が良い。だけれど、今日はお休みである。スーツ姿で行くのは少し嫌で、ひげも剃りたかった。大宮に帰る。

日曜日の東京はとてもよく晴れていて、暑くて、着替えて正解だと感じた。

夏、+α/あるふぁきゅん。の新盤が発売される。彼女はリリースイベントを開催するために各地をまわっていて、今回はダイバーシティが会場だった。ステージはユニコーンガンダムのすぐ近くで屋根はない。機材が熱くならないよう、マイクスタンドにはスタッフのシャツが掛けられていた。ミニライブの観覧は無料、撮影と録音は禁止。広場で歌っているものだから、離れたところで携帯電話を構えている人もちらほらいて、スタッフは、そんな彼らの撮影を阻止するべく走り回っていた。俺は俺で、気になるお客さんがいた。「ちょっと怖い」と感じる。見覚えはあるけど話したことのない人たちだった。お日様の下で歌う彼女をみるのは初めてだった。最前列でみるのも初めてだった。「あのさ、汗とか結局、排泄物だよ? 好意を持ってくれるのは嬉しいのだけれど、ちょっと落ち着いた方がいいと思うんだ」いつだったか、彼女は舞台上でそのようなことを言っていた。うむ、落ち着こう。汗、キラキラ光っていた。日の光が反射しているだけである。俺は落ち着いている。

明日、仙台でライブがある。おそらく、俺の仕事が終わるのは午前4時から5時の間。10時に起きる。寝坊はできない。

そういうわけで、ちょっと仙台行ってきます!