「品性は金で買えないよ」
ようやく分かったことがある。
これは日記に限らないのだけれど、俺は自分自身の品の悪さを隠そうとして、無理をしていたみたいだ。
(ダジャレじゃなしに)何かヒントがあるかもしれないと昔の日記を読み返してみた。面白いものもあれば、そうでないものもある。何を思って書いたのか、何を示そうとして書いたのか、思い出せないものもある。だけれど、良い意味では自由に、悪い意味では開き直った文章だ。具体的に言うと、別に嫌われても良いという勢いを感じる。
実際に、嫌われたり不愉快な思いをさせたこともある。それらの全てを把握しているわけではない。けれど、親切な人は「不愉快です」と伝えてくれる。「不愉快です」と言われたことがある。「もう読みません」と言われたこともある。
俺が無理をするようになったのは、それが、原因ではない。
一番の原因は、俺の好きな人たちの品性に気づいてしまったためだと思う。彼らに比べて俺はどうだ、と。
品性という言葉は、俺にはまだ少し難しい。歌を引用し、たとえてみる。歌のタイトルは、ポルトガル語で『天才』という意味らしい。
道端にクォーター落とす奴、拾う奴みてる奴
行く先に25セント硬貨が落ちていたとき、それを拾う人と拾わない人がいる。拾う人は三種類か。自分の財布に入れる人、警察に届け出る人、誰かにあげる人。拾わない人も三種類? 落とし主が戻ってくるかもしれないと考える人、額が小さくて興味を持たない人、誰かが拾うと思う人。
色々な人がいるけれど、結局のところ善い行為と悪い行為に分かれるのではないか。それでは、善い行為をした人と悪い行為をしなかった人はみな善人か。違う。本当に善い人は、悪い行為を思いつきもしないのではないか。俺はそう思う。だけれど、悪いことを思いつかなかった人と悪いことを思いついたけれどしなかった人は外面上判別できない。俺は、悪いことを思いついた人は悪い人だと思う。もしくは、悪いことを思いつく人だ。悪いことを思いついたけれど、そうしなかった人。なぜか。誰かに見られるのが怖かった? 悪いことをしたくなかった? どうして? そこに善意や良心があったから? 善意のある人は善い人か。分からない。悪い人が善意を持たぬ人であるならば、善意のある人は善い人だ。
この時点で既に矛盾が生じている。
悪い国の悪い人、という言葉があるけれど、人を善い人と悪い人で分けようとするから矛盾が生まれるのかもしれない。もしくは、まだ途中だからかもしれない。
品性はどうだろう。
品のある人と品のない人、上品な人、下品な人。
俺は、自分自身を下劣なことを思いつく人間だと思っている。クォーターを盗むかどうかは、その時になってみないと分からないが、盗む可能性がある。少なくとも、盗もうかなと考えるに違いない。みんなそう思うんじゃないかな。そんな言葉を期待しているのではない。大切なのは、どう考えても盗まない人、盗もうと思わない人、盗むという発想がない人が俺の知る範囲にいるということだ。だから隠したかったのだと思う。軽蔑されたくないから。嫌われたくないから。
無理をして何が残ったのかといえば、何も残っていない。何も形になっていない。いてもいなくても変わらないのなら、いても意味がない。そんなことはないよという言葉を待っているわけではない。
嫌われても構わないと開き直るのはよろしくない。嫌われる覚悟を決めるのは? それが俺なりの礼儀だと思った。少しだけ違うのではないか。正直であることと礼儀は等しくないが、せめて、悪意を隠蔽するための努力はもうやめようと思う。
俺は25セント硬貨が落ちていたら拾います。警察には届けないと思います。猫がいたら追い掛けるし、道交法も破ります。そんなこと、誰だってあるよ。そう言われたいんじゃない。そういう意味じゃない。
品性に触れることができたということ、それは俺にとって、とても幸せなことだ。
品性を教養に置換しても、概ね問題ない。
何度覚えようとしても、コネチカット州が覚えられない。コチネカット州。
コチネカット州。こう書くことで、もしかしたら誰かも俺みたいに間違えるかもしれない。ぐへへ。コチネカット州。ぐへへへへ。
This is a demonstration
まったくこの世の中不公平 神様次第だぜ
やめなよ努力は無駄骨 クラッキー
道端にクォーター落とす奴 拾う奴みてる奴
役割分担決まってるんだ クラッキー運が良いとか運が悪いなんて
それも遺伝子か? クラッキー安物の煙草をすってうまくいかない人生を楽しくやろうぜ
あいつはクラッキー 勝てるわけないよ
あいつはクラッキー 放っておけばいい
あいつはクラッキー 勝てるわけないよ
あいつはクラッキーBaby? Don't lose your way
This is a demonstration
どこかのお偉い偽善者が人は平等だと
説いているけど本当かい? クラッキー
選ばれた奴と選ばれない奴 それをまた選ぶ奴
生まれる前から出来レース クラッキー上を見りゃきりがない 横を見てみりゃ仲間たちがいっぱいいるぜ
あいつはクラッキー 羨ましくない
あいつはクラッキー 認めてやるさ
あいつはクラッキー 羨ましくない
あいつはクラッキー 天才なのさ凡人の俺たちがいてあいつは光るのさ
いきがったり突っ張ったり妬んだりそれがなんになるのか?
肝心なのは俺たちの道がどこにあるかだろう?
拍手を送ったそのときから平等になるトランジスタラジオから流れる理屈のいらないこのリズムに一緒に乗ろうぜ
俺たちゃクラッキー ようやく分かった
俺たちゃクラッキー あいつのおかげさ
俺たちゃクラッキー ようやく分かった
誰もがクラッキーBaby? Don't lose your way