「つまり犯人は僕自身なのだっていうのはもう何度目のオチだ」

たぶん、悪い酔い方をした。これが結論だと思う。
普段、まわりにいる人たちがどう感じているのかは分からないけれど、絡み酒にならないよう、自分なりに注意している。かつて父親が酒を飲んでいた頃、比較的ひどい状況だったから。兄貴と俺は、酔っている父を軽蔑した。暴力を受けたことはない。
父の友人が言っていた。
「お酒さえ、飲まなければ」
昔の話だ。父が酒をやめて十年くらい経っただろうか、二十年を過ぎてはいないと思う。

10月16日は俺にとって有意義な一日だった。反省点もある。もっと、どっしりと構えていたかった。次に活かす。
23時前に会計を済ませ、友人や知人に「またね」と挨拶して居酒屋を出る。今日もたくさん話した、聞いた、笑った。おそらく、俺は誰に対しても嫌な絡み方をしていないと思う。
アパートまでの帰り道を歩いていると涙が出てきた。なんだこれ、意味が分からん、どうして泣いているんだ、いきなりすぎるだろ。
「甘えることができる友達が二人いる」
一時間くらい前に自慢したばかりだった。だから、仮に状況が悪化しても大丈夫だ、問題ない。二人の内のひとりを思う。
「俺、たぶん間違えた」
独り言。煙草を吸う余裕もなかった。立ち止まってはいないと思う。誰ともすれ違わなかった。
最近、なんだか涙もろくなったような気がしていたけど、これは違う。俺にとっては珍しいケースだ。理由を説明することができない。間違ったから泣いているのか、泣いていることが間違いなのか。どっちだ、分からない。

翌日、音源を聴いてもらった友達から返信があった。
「○○と××の間を1拍くらい、△△と□□の間を、たぶん3拍くらいあけてほしいです!」
お、おう。任せろ。
1拍‥‥。小学校か中学校で習ったのに、なんだっけ。いや、待てよ。俺、教えてもらったことがあるぞ。記憶をたどる。俺は、越川くんから教わっている。

何をやっているかはわからなかったけど。
こないだ友だちの部屋にあそびにいって、友だちはPCで曲を編集していて、不意に自分の腕時計をみて、時間を数え始めた。1、2、3…。11秒だったかな。
パソコンに触れながら秒を数えることなんて、僕はしたことがないからその行為がとても新鮮に思えて、萌えた。
(2005.7.22)

昔の、俺の日記。インターネットアーカイブに残っていた。当時、日記を読んだ越川くんがメールを書いてくれた。

11秒じゃなくて、11拍目までの時間を計ったんだよ。10拍を数えて(1拍目から数えるから11拍目まで)、その時間を計ることで、1拍の時間(10拍10秒だったら、その10分の1で1秒)がわかる。エフェクターでディレイを使うときなんかに使える技だよ。
(2005.7.24 1:16)

これだ!!!
俺は言われた通りにタブレットのストップウォッチで時間を計った。念のため二回、違うところで。割り算すると、結果は一緒だった。この曲の1拍は0.625秒。行けるぞ。いつも助けられている。ありがとう。

後日、テンポについて調べていた俺はふと思った。
楽譜には「♩=96」と書いてある。これはつまり60秒間に4分音符が96個入るということだから‥‥60割る96‥‥。秒数を数えなくても‥‥。やだね、もう。