2019-02-01から1ヶ月間の記事一覧

「孤独の数ほど、飲み屋はあるけれど」

久し振りの大阪出張。月の半分くらいは出張であちこちに行っていることが多いけれど、別段大阪営業所から出入禁止処分を受けたわけでもなく、たまたまである。調べてみると仕事で訪れるのは昨年の七月以来だった。 新大阪駅を出て北に進むと東三国という町が…

「もしも今日があの日の続きなら」

昨年の11月10日、同級生のIと新橋で会った。同僚のことで相談したいことがあったから。なんだか、ここ数年で周囲の揉め事が増えているような気もする。 「久しぶり」 Iが手を差し出す。握手。我々が会うのはいつぶりだろう。14歳か15歳じゃないだろうか。四…

「その手は大事な人とつなぐためにある」

山口雅也の『生ける屍の死』を読み終えた。 ◇ 初めて推理小説を読んだのは、きっと中学生の頃だった。 俺が日記を書き始めたのは20代の半ばである。残念なことに、日記以前の記録は残っていない。だから、俺の話には「おそらく当時はこうだった」という類の…

「雑音に埋もれたまんまの埃まみれの本音」

「前回無駄話で終わってしまって、本題に入るの忘れてました!」 「事件か!」 「5分だけ時間を作ってください。家の前でもいいんですけど」 「家の前はやめて」 連絡のあった日、ちょうど俺は日勤だった。深刻な話なのか、冗談なのか。5分なら後者かなあと…

「屁理屈の正義で夢を殺す。僕らの明日が血を流した」

友達の名前には、花の名前が入っている。綺麗な名前だと思う。俺は彼女のことを名前で呼んでいるけれど、ここでは仮に桜さんと書こう。 桜さんとYさんは恋人同士で、俺は彼女よりも先に彼と知り合った。彼は千葉寄りの町で働いている。年に数回、会いに行く…